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2018年09月15日

【第3回】図案と音楽の話「目には見えない景色を描く」


楽曲『雪夜』の製作について、音楽家・小田晃生さんモナレコード・坂本君と3人でお話しした鼎談(ていだん)。
第3回は楽曲製作の裏話をお聞きしました。



----小田晃生×星燈社・山本×モナレコード・坂本『図案と音楽の話』----

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〔第3回〕目には見えない景色を描く



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目には見えない景色を描く


山本 ほかに「雪夜」の歌詞のアプローチで面白いなと思ったのが、小田さんが楽曲をつくる際に「夜の雪は見えないから音で表現した」ってところです。

僕の育った場所は、函館でも街なかだったので街灯もあり、夜の雪も見えたんですよね。

だから、目に見える風景だと思って「雪夜」の図案を描いたんです。


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山本 でも小田さんは見えないものだという認識だったから、雪夜の風景を音で表現して、音から想像する景色を見せてくれたのが面白いなあと。僕は考えもしなかった。


小田 「暗闇に雪ってことは、それ、あれだ、見えないやつだ」っていうことで。

だから、特に雪は降るもの、動くものだからやっぱりそれがパッと写真のように切り取られた瞬間の図案というのは、ある種のファンタジーだなと思ったんですよね。

現実味とそのファンタジーがちょっと重なる部分が歌詞にできたらいいなっていうのは狙いでした。


山本 歌詞の最初から最初のサビにいくまでに、聴覚以外の感覚をどんどん閉じていってる感じがありますよね。


小田 そうですね。


山本 それをサビまで一文でひと息に表現しているのが。


坂本 すごいね。


山本 これがプロかと思って。


小田 いや、ありがとうございます。でも、音楽じゃないと多分駄目な書き方だったり、あと、「ワオン」という歌詞とかも歌だから許される余地だなと思ったんですよね。だから、これを許してもらえたらうれしいなと思った。結構ドキドキ提出した部分でしたね。

単純な詩として読むと多分やっぱりちょっと足りなさとか、トントンいき過ぎてるという部分もあったり。そこはやっぱり曲を書きながらたまに考えることがあって。歌だからこれは逆にこうやろう、とか決めてやるときはあります。


坂本 歌だからできる表現法、文章じゃ無理な。


小田 メロディーで補助してもらえればいいかなみたいな。


山本 面白いですねえ。


坂本 あ、ちょっとすいません(来客のため一時退席)



自己模倣と手くせ


山本 ところでアーティストの方っていうのは自己模倣が怖いとか、自己模倣をしたら終わりだと言ったりしますけど。小田さんはどうですか。


小田 そうですねえ。本当は別にいいんでしょうけどね。ただ怖いというのもあるし、あとは欲求もあるからなあ、みたいな。


山本 なるほど。星燈社はアーティストじゃなくて日用品メーカーだから、売れるものを作るというのは意識していて、やっぱりバランスも考えて今までにない色味もやらなきゃと思ってはいるんです。

けど、どうもあんまりうまくいかなくて。例えば、赤とかピンクとかかわいらしいのはいまいち評価されない。結構頑張ったんですけど、やっぱり駄目。


画像3: えりまき「夜風/よかぜ」


山本 そんで、あるときにもう無理しないで好きな色と好きな柄でいこうと思ったら、それが評価されて。

だから何だろう、自己模倣でもないけど、手くせは認めなきゃいけないのかなあと今は思ってます。


小田 多分、自分で手くせをコントロールできる人と、できない人がいて。

でも、映画とかもそうですけど、同じような座組で作られた映画でも全然違ったりするものも、点で見てくと何か分からなかったりするけど、面で見たときにあそこが愛すべきポイントなのかみたいなのが見つかったりしますよね。


山本 例えば、音楽だったらアルバムを通して一つの作品になってるとか。


小田 そうですね。曲単位もそうですし、アルバム単位でも、だけど、ここだけは絶対なんだなみたいな、そういうのが実は掘り下げて見てくと分かったりしますよね。


山本 アルバムに入れる曲順は悩みますか?


小田 あんまり曲順は悩まないです。結構パッと決まりますし、あと、もうちょっとここにもう1個って思って、それを付け足して作ったりもします。


山本 悩まないってことは、もうイメージがあるんでしょうね。


小田 ただ他の人を見てて偉いなって思うのは、アルバムにちゃんとコンセプトを作るじゃないですか。

最近特によく感じるんですけど、僕は本当寄せ集めなので「今回はアルバムをこういうテーマで作りました」と言ったとしたらうそだと思うんです。僕、毎回そんな考えてない。作ったら作った分だけ集めるんですけど、そん中でこの順番に聴きたいなと思うようにしてます。


山本 『チグハグソングス』ですもんね、サードアルバムのタイトル。


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小田 あれは寄せ集めであることを肯定するためのタイトルだったんです。

多分、自分がそういう人間なんですよね。同じことを続けられないっていうか、ずっと同じことは考えてないなと感じるので。人間の頭は本当にぐちゃぐちゃだなと。それでありたいなとは思いますね。


山本 きっとみんなそうですよね。例えば和食大好きって言ってもパスタ食べるし、パンクロックが大好きって言ってもフォーク聴くし、みたいな。一人の人間もいろんな面がありますもんね。



「雪夜」と「冬のにおい」

山本 CD『雪夜』のカップリングには、小田さんが所属するバンド・COINN(コイン)でのレパートリー『冬のにおい』を再録して頂きました。


小田 ご指定があったんですよね。


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山本 『冬のにおい』は朝の曲なので『雪夜』と合わさることで、夜と朝の対比になりながらも、両方に共通した「雪のあたたかさ」という要素が浮き彫りになるかなと。


でも出来上がった曲を聴いたら『雪夜』は耳で雪を感じる曲で、『冬のにおい』は目と鼻で雪を感じる歌になっているなと気づいて。


小田 あんまりそれは狙ってはいなかったんですけど、でも、結果的にそうなったな、やった!って感じでしたね。『冬のにおい』はすごいぴったりだなと思ってはいました。


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山本 夜と朝の対比、家の中と外の対比、静と動の対比、というイメージはあったんですけど、そこにさらに音とにおいの対比が加わって。いよいよこれは2曲合わせて良かったなと。すごいなと。


小田 ありがとうございます。


山本 小田さんが「片方で言えなかったことをもう片方の曲が補完してくれる」とおっしゃってたのがその通りになったなーと。

でも、このCDに封入した歌詞カードだけじゃ、どうして『冬のにおい』が入ってるかみたいな話をできてなくて。


小田 そうですね、確かに。


山本 だから僕、歌詞カードに載せる文章に、そんな対比の話をめいっぱい書いたんですよ。

そしたら妻に「ちょっと説明し過ぎだから、聴く人に想像する余地を残してあげたらどうかなあ」と言われまして。それはほんとその通りだなあと。

星燈社で普段つくっている日用雑貨って、使い方を分かりやすく説明する部分があって、くせなんですよね、説明し過ぎちゃうのが。


小田 でも、確かに知ってほしいというのはありますよね。


山本 ありますね。


小田 すごいでしょうみたいな。


山本 そう(笑)こんな風にうまくピースがはまったんだよーすごいでしょ!みたいな。そんで説明し過ぎちゃうと。


小田 解き明かし過ぎちゃう?


山本 ですね。でも、確かに想像する余地がないと良くないなあと思って。

だからCDでの説明は簡素にして、副音声的に今日の対談インタビューがあるわけです。




〔第回〕ネガティブとポジティブ に続きます





-------今日のがまくん【第1460回】--------------
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がまくんと雪虫

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雪虫ってあぶらむしの成虫らしいですね。



posted by 星燈社 at 09:00| 日記