

山本 今回、楽曲をCDにしたのは理由が2つありまして。
まず、カフェ・雑貨・書籍・音楽の4つは近しいところにあって、結びつきも強い気がします。
たとえばブックカフェ、CDを置く書店、雑貨を扱うカフェなどの業態があったり。
だけど雑貨と音楽ってあんまり結び付いていない気がして。
でも雑貨好きな方は音楽も好きだったりするから、図案を元にした楽曲のCDをつくることで面白い化学反応が生まれるかなと考えたんです。
山本 もうひとつは、雑貨はデザインやアイディアを製品に落とし込んで、実際に使っていただくものです。
CDも音楽ソフトを具体的なかたちのあるモノに落とし込むから、雑貨と近い存在だなあと思って。
だから「図案と音楽」シリーズの音源は「モノとしての音楽」を提案したいので、ダウンロード配信はしません。
坂本 配信しないんだね。
山本 モナレコードもレーベルとしてCD出してるけど、CDで聴いてほしいって感覚はある?
坂本 CDである必要はないかな。必ずしも。どうしても物理的な不都合というか、広げていく際の色々なネックやコストもあるんで。特にCDプレイヤー・PCを持たない若い世代に対しては。ただ、広い世代・趣向の人に聴いてほしいってなったらCDが現時点で最善の選択だと思います。
小田 そうですね、確かに。
坂本 ソフトっていうのは、やっぱり絶対なくならないとは思うんですけど。
山本 次の時代は何になるんでしょうね。
坂本 やっぱり僕らの世代はCDですよね。
小田 そうですよね。
坂本 CDは逆に流通量が減ってきてるからこそソフトとして違った価値が出てきてるし、やっぱりすごく丁寧に作られてるものだなと思います。あとはコミュニケーションとして貸し借りできるのもメリット。
あの人に貸しても聴ける、あの人に借りても聴けるものがあるっていうのはすごく大事なことだなと。
山本 貸したCD返ってこないっていうトラブルもありつつ。
坂本 ありつつ。それも思い出になりますし。
でも自分の感覚とは別に、新しい世代の子とかに今度は広げていこうと思った場合にやっぱりちょっとCD弱い部分があるので、じゃあ、次は何だろうっていうのは常に考えてますね。同じことは強要できない、同じ不自由を強要はできないし。
山本 なるほど。
小田 同じ不自由を強要できないっていうのは、確かにそうですね。
〔第7回〕『雪夜の音楽会』に続きます
