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2010年09月22日

インド・ネパールB



インディラ・ガンディー国際空港で出会い・そのまま何の因果かアグラの街まで一緒に旅をしてきたIさんと別れ、僕はひとりヒンドゥー教の聖地・バラナシへ向かうことにしました。

本当はアグラの街でもっとゆっくり過ごしても良かったのですが、アグラの街の中でも観光客が訪れるエリアは結構物騒で、しばしば日本人の若者が行方不明にあったり強盗に遭ったりするとのこと。

僕が訪れたときにも日本人数人がホテルの部屋に侵入強盗に遭ったらしく、連日その記事がインドの新聞を賑わせていたようです。

そんなわけで、アグラの街に長居するのもなんだか怖く、そして何より早く先に進みたい衝動に駆られてアグラの街を2泊で離れることにしたのでした。

とは言うものの
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僕が見る限りアグラの街は平和そのものに見えましたが。


一方、インドの西部・砂漠のラジャスターン地方へと向かったIさんは、残りわずか10日の旅で100本近い大量のペン束とカロリーメイト20箱以上を一体全体どうやって消費したのでしょうか。
いつかどこかで会ったら聞いてみたいものです。
(Iさんのカロリーメイト事件をご存知じゃない方は、どうぞ【インド・ネパールA】をご覧下さい。)

ちなみにIさんは英語を聞き取るのが非常に苦手。
たとえば、立派なカメラを提げているIさんを見たインドの子供が、写真を撮ってもらおうと

「フォト!フォト!」

と言ってくるのを、何をどう聞きまちがえたか

「ウォーター!ウォーター!」

だと思い込み

「はい!ウォーターだよ!!」

とペットボトルの水を差し出し、インドの子供と僕は唖然。
いや、だってカメラを指差して言ってるじゃないですか。
まあ結局その子供も、唖然としながらもIさんの水をガブガブ飲んでいたから別にいいんですけどね。

そんなIさんの挙動を思い出しながら、リキシャ(三輪タクシー)に乗っていると鉄道駅に到着。
リキシャに乗ると、大抵は降りる段になって約束していたよりも高い料金を言ってきて揉めるのですが、今回の運転手は良心的。
なんと、揉めごともなく約束通りの料金を払うことに。

約束通りの料金を払うだけなのに、なぜかこちらがお礼を言いたくなるのはインドの七不思議ですね。

そんなわけで気分良くリキシャを降りてバックパックを背負い、駅に向かって歩を進めていると、なんだか床が動いている…
と思っよく見たら道端に寝ている人達でした。なんでこんな場所に!

どうやら実はインドでは列車が何時間も遅れるのは普通のことらしく、この人間絨毯は列車を待ちくたびれて寝こけてしまっている人たちのようでした。

「うわーみんな大変だなー」
とどこか他人事でそんな人間絨毯を眺めていたのですが、僕の乗るバラナシ行きの列車も結局四時間遅れで到着。

でも僕の目的地のバラナシは日本人も多く訪れる街。
同じくバラナシへ向かう日本人と他愛もない話をして時間をつぶすことができました。
その中には、2・3年と長く旅をしている人や、僕と同じく大学の長期休暇を利用してきている青年、それから会社の休みを無理やりくっつけてやってきた『リーマン・パッカー』と呼ばれる人なんかもいます。
年齢も職業もバラバラで、きっと日本じゃ話すことはないだろう色んな人たちと、そうやって同じ旅人の立場で対等に色んな話をしたことは、今僕が生きていく上での大事な糧になっています。


さてそんなわけで随分遅れて到着した寝台列車に乗り込み、 僕の寝台席でいびきをかいて寝ているインド人を揺り起こしてどかし、泥のように眠ると


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夜は開けていて一面が緑。
外から入る風も心地よく、窓の外をぼんやり眺めていました。

しかし、途中で列車が田舎の駅に到着すると
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なんかすごい集団が列車待ちしています。
なんですかこのオレンジの集団は。
絶対に関わり合いになりたくない…!

と思っていると
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案の定僕の向かいの席に腰を下ろしました。
いやむしろ軽くオレンジに囲まれるかたちに。
これがオセロだったら僕は完全にオレンジになっています。



結局、絶対に関わり合いにならないつもりが



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ものすごく仲良くなっちゃいました。



聞くと、今はヒンドゥー教のお祭りの季節で、みんなお祭りのためにオレンジの衣装を纏い聖地のバラナシまで向かうんだそうです。

面白いもんだなーと思っていろいろ質問していると、彼らは
「どうやらこの日本人はオレンジの服に興味深々らしいぞ」
と思い込んだらしく、訪問販売よろしく僕にオレンジ着用を薦める猛攻がスタート。

「きみもオレンジ着たい?」
「いや僕は似合わないので結構です」
「似合うよ」
「いやそんなまさかー」
と日本人らしく謙遜するも

「オレンジ着る?楽しいし」
「たしかに楽しそうだけども」
「じゃあ着る?」
「いや似合わないので結構です」
「似合うよ」
「いやそんなまさかー」
「じゃあ…サモサ食べる?」
「いただきます」

とかなんとかやり取りをしているうちに、およそ二時間遅れでバラナシ駅に到着。

列車のタラップを降り、バラナシの地に降り立つと
「ここがヒンドゥー教の聖地か…!!」
となんだか感動もひとしお。
バラナシは、よくインドの風景として紹介される「ガンジス河の沐浴」や「火葬」が行われる地。
思えばずいぶん遠くまで来たもんです。


そんな青くさい旅情を感じていたそのときの僕は、まさかその数日後、ガンジス河を見に行く道中で野良犬と野良牛に追いかけ回されるなんてことは全く知る由もなかったのでした。

【インド・ネパールC】へ続く
posted by 星燈社 at 20:22|